天智天皇は都を近江に移してまもなく病の床に就かれた。そのとき重臣であった中臣金の夢に、都の西方の大木の根から湧き出る清水を汲んで天皇に奉れとのお告げがあった。そこで中臣金が宇佐山(近江神宮裏手の山)山中に分け入ると、お告げどおりの泉があり、さっそく天皇に飲んでいただいたところ、病気はたちどころに快方に向ったという。そこで、この泉を「金殿井」と名付けて賞賛した。
後に源頼義が宇佐山山中に宇佐八幡宮を建立したとき、この泉の水を人々に拝受させ、霊験があったという。この神水は諸病に功験があり、特に八月初旬の土用の日にいただくと特に効き目があるという。現在も霊泉祭が行われている。
近江神宮境内の井戸や手水の水もかつてはこの神水につながる山の水のであったが、西大津バイパスの宇佐山トンネルの開通後、水脈が断たれたためか、あまり水が出なくなった。